ちり

ちり
I
ちり
鍋料理の一。 煮立った湯の中に魚肉・豆腐・野菜などを入れ, 煮ながらぽん酢などを加えた醤油につけて食べるもの。 鯛(タイ)ちり・鱈(タラ)ちり・河豚(フグ)ちりなど。 ちり鍋。
II
ちり【地利】
〔「じり」とも〕
(1)地勢の有利さ。 地の利。
(2)土地から生ずる利益。 耕作・牧畜・山林・鉱物などの生産物。
(3)地頭の得分, 地主の小作料など, 土地からあがる利益の総称。 地子(ジシ)。
III
ちり【地理】
(1)地球上の山川・海陸・気候・人口・集落・産業・交通などの状態。

「中央アジアの~を研究する」「自然~」「人文~」

(2)その土地の様子・事情。

「この辺の~に明るい人」

(3)学問または教科としての地理学。
IV
ちり【塵】
(1)こまかくとびちるごみ。 ほこり。

「本棚の~を払う」

(2)小さなごみ。 あくた。

「いとちひさき~のありけるを目ざとに見つけて/枕草子 151」

(3)(浄土に対して)この世のわずらわしさや, けがれ。 世俗のよごれ。

「うき世の~」「世に従へば, 心, 外の~に奪はれて惑ひやすく/徒然 75」

(4)よごれ。 けがれ。

「いかでわれ心の雲に~据ゑで見る甲斐ありて月を眺めん/山家(雑)」

(5)ほんのわずかなこと。 ほんの少し。

「~ほども心にかけない」

~に継・ぐ
〔先人の歩いたあとに残る塵を受け継ぐ意〕
遺業を継ぐ。

「今も仰せの下れるは~・げとや/古今(雑体)」

~に同・ず
俗世間の人と親しく付き合う。 塵にまじわる。
~に交わ・る
俗世間の人々と付き合う。

「聖人は国に仕へ~・り, 光を包み跡を隠して/沙石2」

~も積もれば山となる
〔大智度論〕
ほんの些細(ササイ)なものでも積もれば高大なものとなるたとえ。 塵積もりて山となる。
~も灰もつかぬように言・う
とりつくしまがないほどに言う。 けんもほろろに言い放つ。

「ともかくもそなたの分別次第と~・へば/浮世草子・好色万金丹」

~を出(イ)・ず
俗世を離れる。 出家する。

「秋風の露のやどりに君をおきて~・でぬる事ぞかなしき/新古今(哀傷)」

~を切・る
力士が仕切る前に徳俵(トクダワラ)の内側で蹲踞(ソンキヨ)し, 手を合わせたのち, てのひらを広げて両腕を横にのばす動作をいう。
~を絶・つ
絶塵
~を望んで拝す
〔晋書(石崇伝)〕
はるかに貴人の来るのを迎え礼拝する。 権勢におもねるたとえ。
~をひね・る
はにかんでもじもじする。

「祝儀は述べても赤面し, ~・らぬばかりなり/浄瑠璃・菅原」

~を結・ぶ
(1)ささやかな贈り物をする。

「~・んでなり共そなたの手からおくりやれ/狂言・箕被」

(2)塵手水(チリチヨウズ)を使う。
~を結んでも志
ささやかな贈り物であっても贈った人の気持ちはあらわれているの意。
V
ちり【散り】
(1)散ること。

「あしひきの山下光るもみち葉の~のまがひは今日にもあるかも/万葉 3700」

(2)建築で, 隣接する二つの平面のわずかなずれ。 壁の柱の, わずかに壁から出た部分, 飛び石の地面から石の平面までの高さなど。
(3)本の部分の名。 本製本で, 表紙が本文の紙よりも一回り大きく出ているその部分。
製本
VI
ちり【知里】
姓氏の一。

Japanese explanatory dictionaries. 2013.

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